浮かび上がる、沈み込む。

人生的にも感情的にも浮き沈みが激しいです。どちらかというと、溺れてると言った方が正しい。

自称メンヘラが本当に病んで通院する羽目になった話、その①

 今年の3月、知り合いが主催している写真展に行ったとき、強烈なショックを受けた。

 


 自分がモデルになって撮ってもらった写真が出展されていた。かっこよく綺麗に撮ってもらった写真で、個人的には気に入っている作品。
 けれど展示室でその写真を見たとき、自分以外の女性のポートレートも何点か並んでいる中で、写された自分の姿がとても異質で不気味なものに見えた。

 

 他人を威嚇している狂暴で獰猛な、そしてひどく怯えた、弱くて情けない不恰好な化け物。化け物の眼は何かを睨んでいながら、何も見ていないように虚ろだった。虚ろに真っ直ぐ、こっちを見ていた。
 そのとき、これが自分の正体だと思った。
そしてその正体が暴かれてしまった、晒されてしまったと感じた。
 ショックだった。
 自我ががらがらと崩れていく音が、体の内側から聞こえてくるような気がした。

 


 それからというもの、夜になると言い様のない不安や絶望感に襲われるようになり、元々不眠症気味で眠りが浅いのに拍車が掛かってしまった。

 

 電気を消した部屋の中、ベッドに入って目をつぶってもちっとも眠れない。朝の5時や6時頃まで眠れないこともざらにあって、3時頃に寝つければ良い方。それでも目覚ましのアラームが鳴る前に2回ほど目が醒める。せっかく早く寝付けたときでも、やはり眠りが浅いのか夢ばかり見て、日が昇るまでに何度も目が醒めた。7時に起きると全然疲れが取れていなくて体も頭もぐったりとしている。

 

 仕事をしていても、自分が何をしているのか何をしなければいけないのか分からなくなった。不意に何かが込み上げてきて頭がくらくらしてはトイレに隠れて泣いていた。
 バレないように取り繕えば取り繕うほどに、自分の中がぐちゃぐちゃに掻き回されてバラバラに分裂していくような感覚に襲われた。
 乾いた砂粒が肌の上をさらさらと流れて落ちていくように、他人の言葉が何も入ってこない。何も。

 

 仕事を終えてアパートに帰り、独りになると猛烈に不安になり怖くてたまらなくなって泣いていた。

 だから独りにならないように出掛けたりもしたけれど、知り合いの店で談笑して楽しく過ごしても、帰宅するとそれまでのことは全て幻だったかのように現実感がなくなる。まるでテレビで流れる映像をただ見ていただけみたいに、他人事のように感じた。


 自分の存在が疎ましい、消えてしまいたい、死にたいという気持ちが自然と浮かび上がり、毎晩眠れずにいる頭の中を埋め尽くす。呼吸するのすら苦しくて仕方がなかった。
 涙が止まらなくて嗚咽が漏れて、それすら悲劇のヒロインぶっているだけのような気がして、自分が気持ち悪くなる。その繰り返し。

 

 

 

 助けて欲しい。
 けれど、誰に助けを求めたらいいのか分からない。
 伸ばした手を振り払われたら、と思うと怖かった。
 自分でなんとかしなきゃ、自分ひとりの力で乗り越えなきゃ、と考えても考えても、不安や絶望感以外のものが浮かんでこなくて、どうしたら良いのかも分からず八方塞がりだった。

 


 もう、ダメだ。
 
 ここから先はどうなるか、私は知っていた。幻覚や幻聴が聞こえ始める。あるいは無気力になって全く動けなくなる。あるいは昼夜を問わず騒ぐようになる。自傷行為をするようになる。もしくは他人を攻撃して暴れ回る。
 そうなるのは、絶対に避けたい。
 私は30年近くもの間、正気と狂気のはざまをぐらつきながら、狂気の方へ偏り気味のバランスをなんとか保って生きてきた。その自覚ががあったからこそ、狂気に振り切れるのだけは避けたかった。

 

 

 そして精神科を受診した。
 毎晩泣くようになってから、既に3~4ヶ月もの時間が経過していた。